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生物学辞書の構築 (Building Dictionary for Life Science)
 
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辞書プロジェクトの説明

日本語の科学技術用語収集プロジェクト @DBCLS


1. 学術用語日英対訳 パブリック辞書の意義

オープン科学情報が世界を満たします

科学の世界では21世紀に入り論文やデータを中心に様々な情報のオープン化が進んでいます。
デジタル革命の力を最大限に活かし、人類全体の科学力を最大限に発揮するための試みです。
 OpenAccess news letter by Peter Suber
 Open Access Open Science に関する年表 http://www.earlham.edu/~peters/fos/timeline.htm

地球環境や生物多様性、生命科学情報に関するオープン化と世界レベルでの協力は特に目覚しい勢いです。
 GBIF(地球規模生物多様性情報機構)http://bio.tokyo.jst.go.jp/GBIF/gbif/japanese/data/taisei_seibi.pdf
 日本語ポータルサイトhttp://gbif.ddbj.nig.ac.jp/
 米国税金研究成果の論文を無償で公開するNIH Open Access Actに基づく論文公開DB
 PubMed Central:

世界のオープン科学情報を日本人が利用できない!?


わが国では日本語で科学教育や研究を行っておりマンツーマンの教育の効率を保つ一方で国民のインターネット上の情報の利用効率は高いとはいえません。 世界の科学でオープン化が進みネット上のオープンな情報が増えれば増えるほどこの言語のハンディーの影響は大きくなります。このハンディーの縮小の為の努力として
1) 日本語の質問で世界の科学情報に到達可能にする
2) 日本語で書かれた科学情報を最大限ネット検索可能にする
の二つの取り組みを始めています。
 
日本語辞書は1)を目的とするサービスを官民問わずに支援するために誰でも制約無く使える対訳専門用語集を作ることを目的としています。 情報源を明示した英語日本語対のデータであり用語の構造化や解説を行うものではありません。

2. 日本語用語集の種類


自然に任せると少なからず同じ概念 (外来語) に対して複数の日本語が流通します。これを制御するのは困難です。コミュニケーションにはこれで十分でも政府や学会などの特定の集団はそのインテグリティの為に同義語の内の特定の一つを決めて使用したくなります。例えば教科書や法律、裁判などの公的な文書では統一的な使用が期待されます。

この公式用語を決める仕事は自発的にまた慣習として様々なレベルで行なわれています。


2.1. 学協会専門用語集


社団法人である解剖学会や医学会、日本バイオインフォマティクス学会など学会協会が独自の事業として行なうもの。説明 (narrative desciption) を付けた辞典の形を採るものも多い。

学会が学会員の協力で独自に行なう事業。科学研究費助成金を受けることも多い。
  (例) 和英対訳用語集型
  日本医学会医学用語辞典 日本医学会医学用語管理委員会編 南山堂
  http://jams.med.or.jp/dic/terminology/hanrei.pdf
  キャッシュ: 日本医学会: 医学用語辞典 (英和改訂 3 版) の編集方針と凡例

  (例) 和英対訳辞書型
  バイオインフォマティクス事典 (同学会編 共立出版 ISBN 4-320-05628-0


2.2. 文部省学術用語集


国語審議会の意見を受け学術審議会で審議した「公式」な日本語学術用語のリスト。漢字の選択や仮名遣いが政府が決める国語に忠実である。
  (例) nucleic acid :: 核酸 :: カクサン

平成 13 年以降には行なわれていないため文部省時代の形式的手続きを読み取ると

文部大臣 (国民の代表) が文部省の学術審議会を使って行なっていた事業。

形式としては大臣が「学術用語はこの頃どうですか ?」と聞いて文部科学省が「こんなです。」と答えるやり取りの「答え」が文部省学術用語。文部省に言われて原稿案を作るのが文部省・学術審議会 (現 文部科学省・科学技術学術審議会) の仕事。彼らは科学研究助成金を作れるので当該分野向けに「用語標準化の為の調査研究」を助成金として走らせて 被助成者が中心になり通常所属学会の協力で用語を集め 学術審議会に報告する。

学術審議会は習慣として国語審議会に意見を聞いた後に審議して学術用語案を作成し文部省が刊行する。改組後は文部科学省・科学技術学術審議会・学術分科会に引き継がれたはずの仕事。

「文部省では、学術の進歩とその普及を図る為、難解で多様な学術用語を整理・統一し、標準化を図るとともに、国語表記に即したものにするとの観点から、昭和 22 年以降、関係学会等の協力を得て、学術会議の答申・建議に基づき、学問分野ごとに学術用語を制定し、それぞれ『学術用語集』として、編集・刊行するなどその普及に努めている。 (Author 平成 12 年 学術国際局学術情報課 専門員 澤田さん http://www.nicer.go.jp/lom/data/contents/bgj/2000020203019.pdf キャッシュ: 教育情報ナショナルセンター: 学術用語 (医学) の制定・普及に係る学術審議会の答申について)」

「学術用語の制定は,学術奨励審議会学術用語分科審議会の所掌事項であるが,同分科審議会運営規則第 9 条『会長は,審議案が提出されたときは,そのつど国語審議会長に連絡するものとする。』によって,国語審議会に連絡することになっている。国語審議会は原稿の審査を国語課に依頼し,その結果にもとづいて,総会の了承をうけ,回答をする手続をとっている。」 (第 3 期国語審議会 http://www.bunka.go.jp/kokugo/frame.asp?fl=list&id=1000006944&clc=1000000108 キャッシュ: 文化庁: 第 3 期国語審議会、 5. 学術用語の問題 http://www.bunka.go.jp/kokugo/main.asp?fl=show&id=1000006995&clc=1000000108&cmc=1000006944&cli=1000006950&cmi=1000006978 キャッシュ: 文化庁: 第 3 期国語審議会 5. 学術用語の問題) とあるが第 3 期以降 17 年間は学術用語の審議は行なわれた記録が無い。

この文部省学術用語集は大掛かりなので刊行頻度が少なく、あまり実用には向かないが
不安定な電子ファイルでなく紙媒体の利点を生かしたメジャーなバージョン管理 (正当性) の役目を果たしていると思ってよい。

学問分野の切り分けは昔ながらであり、ライフサイエンス系では 植物 動物 遺伝学 農学 薬学 歯学 医学 に分類されている。生化学や分子生物学はそれぞれの分野に散在している。分野間の統一は行なわれていないために同じ概念 (英語) に異なる日本語が標準化されている場合もある。

  平成 11 年の医学用語制定案
  オリジナル: http://www.nicer.go.jp/lom/data/contents/bgj/2000020203019.pdf
  キャッシュ: 教育情報ナショナルセンター: 学術用語 (医学) の制定・普及に係る学術審議会の答申について

  平成 10 年の薬学用語集制定案
  オリジナル: http://www.nicer.go.jp/lom/data/contents/bgj/1998072809012.pdf
  キャッシュ: 教育情報ナショナルセンター: 学術用語 (薬学) の制定に係る学術審議会の建議について

  学術用語集医学編販売
  http://www.amazon.co.jp/%E5%AD%A6%E8%A1%93%E7%94%A8%E8%AA%9E%E9%9B%86%E2%80%95%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E7%B7%A8-%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81/dp/4818195170
  キャッシュ: Amazon: 学術用語集 - 医学編 (単行本)
  内容 (「MARC」データベースより)
  医学用語専門委員会により審議された医学用語 1 万 9 千語余を収録。新聞等で使われる医学用語、他の学会でも使われる医学用語、法令等で使われる医学用語を含むなど、基本的な用語を採録し、英語及びローマ字書きの読みを付す。

学術用語集は昭和 47 年以降に出版されたものが 26 分野存在しますが
情報学研究所の学術基盤推進部 学術コンテンツ課が文部科学省科学研究費補助金研究成果公開促進費の助けで作成したオンライン学術用語集で 24 種類は検索可能です。 化学 医学 薬学 歯学 農学 機械工学 電気工学 は検索できません。ダウンロード可能なものはありません。
  http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi
  キャッシュ: 国立情報学研究所: オンライン学術用語集

  過去に出版された文部省学術用語集リスト (サイト内の別ページ)
  これまでに出版された全ての「文部省学術用語集」


2.3. 個人研究者電子化公開用語集


  • 2.3.1. 金子周司 京都大学 ライフサイエンス辞書

複数の情報源からの用語収集と編纂を独自に行なっている。平成 6 年以前から存在する個人プロジェクトの延長で構造化やコーパス利用の例文付け、ワープロ利用フォーマットの無償提供など
デジタル分野の辞書のあるべき形を採っている辞書プロジェクトの先駆け。ライフサイエンス全体をカバーしているので専門用語辞書や UMLS メタシソーラスとくらべると深度が浅く構造も簡単に感じる。

  • 2.3.2. 船戸和弥 慶應大学医学部 解剖学用語集

Terminologia Anatomica の用語をデジタル化したもの。オリジナルの明瞭でない階層構造をできるだけ汲み取ろうとしてくれている。更に Fenesis の解剖学アトラス「図解解剖学事典第 2 版 医学書院 (ISBN978-4-260-13625-9)」のページ及びパネル番号との対応も付けてくれてるのでオリジナルより情報多い。
辞書を作るのが目的ではなくパブリックドメインにマルチメディア解剖学教科書を置いてくれようとしていると思われる。骨格系から自著の用語説明を書いた系統解剖学教科書を書いていってくれてる。
教科書は 片山正輝 川村光毅 らと共著

  • 2.3.3. 奈良佳洋 竹内昭博 北里大学医用情報学 による医学用語編纂電子化公開
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp:8080/docs/take/html/yg/ygej.htm
キャッシュ: 北里大学医用情報学: 英和医学用語集 (内科学会 1993 + 循環器学会 1995 + 生理学会 1987)
英和医学用語集 (内科学会 1993 + 循環器学会 1995 + 生理学会 1987)
クレジット: この医学用語集は、北里大学医学部及び医療衛生学部の学生らが入力したデータを、医学部生物物理系 奈良佳洋が編集したものです。


(2009 年 2 月    統合データベースセンター    大久保公策)

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